一粒の感謝

米の一粒には何人の神様が宿っているか

末生り

末生り

うらなり

① 時季遅れに、つるの末になる実のこと。小形で味は劣る。

② 顔色が青白くて、弱よわしく見えること

 

私が小さい頃、祖母の庭の畑できゅうりを育てていたことがあった。真夏の炎天下、採れたてのきゅうりに味噌を付けて一本食いした記憶がある。

きゅうりは「自然の水筒」と呼ばれ、みずみずしい果肉が、昔から親しまれてきたそうだ。

 

そんな中、見るからに水分がなく、しわしわのきゅうりが一本あった。処分するには勿体ないが、食べるのは憚られる具合だった。幼い私は、そのしおれた水筒を、食べずに棄てた。見た目が気持ち悪い、おいしそうじゃない、と感じていたに違いないだろう。

 

ただ、その末生りも、以前は青々としていたのだろう。出会った時期が違った。それだけの違いで、そのきゅうりの運命が変わった。

きっと私たちも同じだ。私たちの人生も、出会った時期に左右されている。

一生の親友、命の恩人、運命の人。もしかすると、何気なく昨日駅ですれ違ったあの誰かが、私にとって大切な人になっていたかもしれない。